シロウオ漁

盛川 川口橋上流

昭和15年頃 フィルム6×4.5cm

川口橋の上流300m付近。川岸には堤防が整備されており、昭和15年の景色と比べて川幅が狭く橋も短い印象を受けます。吹き抜ける潮風と山の稜線が、かつての営みをかろうじて伝えています(2025年10月撮影)。

 盛川は初代が幼い頃から慣れ親しんだ川で乾板、フィルム問わず比較的多くの写真が遺されています。この写真はその中でも数少ない、戦前の撮影と思われるもので、シロウオ漁の様子を記録したものです。

 この漁は産卵のため汽水域に遡上するシロウオを網や梁(やな)を使って捕る漁で、その土地ならではの知恵と工夫が凝らされた、個性的な漁が日本各地で行われているようです。あらためてこの写真を観察してみると、網の形や足場の造りなど、素人目にも他の地域にはない特徴があるように思えます。

 竹竿の先に吊られた、四角錘状の骨格とその底面に張られた網。二列に打ち込まれた杭の間に積まれた石と、その上に渡された、足場となる板。これらは陸続きになっているようにも見えます。

 細長く入り組んだ大船渡湾の奥に位置する盛川河口域には、かつては干潟が広がっていたそうです。写真に記録されたシロウオ漁もまた、盛川特有の風土の中で育まれていた漁法なのではないか――。そして、これを二枚に記録した祖父は、この営みが消えゆくものである事を予感していたのではないか。

 漁師と、カメラを構える初代の姿を想像しながら、そんな思いがこみ上げてきます。

盛川のシロウオ漁。梁の上に作られた足場にたち、四つ手網を手にしています。
写真① 網を下ろしている様子。
写真② 網の骨格は竹竿の先に紐で結ばれ、吊り下げられています。
写真③ 足袋を履き、足場となる板の上に乗っています。
写真④ 杭の間に積まれた石。
四つ手網を持ち上げ、シロウオを籠へ移す様子。
写真⑤ 細い竹の先端を紐で連結し四角錐状の骨格を形成しています。底面に張られた網の中央部は目が細かく作られているように見えます。
写真⑥ 網から籠にシロウオを移す様子。奥には筒状の器具も確認できます。
写真⑦ 梁の隙間から水が流れ込む様子。梁を挟んで左側が岸、右側が流芯。

盛川に思い出のある方、盛川のシロウオ漁についてご存じの方はぜひお話をお聞かせください。本記録の拡大画像では他地域で行われているシロウオ漁を参考に、盛川の漁法において特徴的と思われる部分を取り上げています。この漁法について詳しい方からのご感想もお待ちしております。

参考文献

  • 川島秀一「シロウオ漁の生活誌」『いのちの海と暮らす―日本の沿岸漁業民俗誌』、株式会社冨山房インターナショナル 2022年

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